介護保険制度のあり方、懸案事項 浮き彫りに!
(厚労省老健局 古都振興課長と田中専務理事の対談で)
介護保険関連事業の成功事例中心に 情報交換
すでにご案内の通り、1月27日(土)と28日の2日間に亘り、トップマネジメントセミナーを開催、全国からおよそ80人の参加を得て成功裡に終了することができました。会員各位のご協力に感謝します。
【厚労省古都課長と田中専務理事との対談】
「介護保険法の改定は、制度の発足時と現状との大きな変動差を補うためになされたのであり、『介護の社会化』や『高齢者への尊厳』等大切なものは堅持していく。ただし、介護保険は単独で存在しているわけではなく、右肩上がりではなくなった現状に合わせ、税制が変われば税との連動等で保険料が上がったり、所得区分の移動の影響を受けたりする。」というお話から古都課長の講演はスタート。予め会員からの質問事項をお送りしてあったので、講演の中に回答内容が含まれる形となりました。
「個別対応可能な柔軟な運用を求める声に対して、地域毎の独自性、保険料とサービスのリンク、事業者として利用者としてのそれぞれの視点等を加味して、制度依存ではなく、制度活用型の共倒れにならないようなシステムに創り上げていく必要がある。介護保険のサービスでは提供できないサービスを有償あるいは無償で提供することの必要性、介護保険の対象年齢を引き下げることの検討、外国人による介護の受け入れ問題、スウェーデンにおける常勤の介護者によるシンプルなサービス提供方法の導入検討、医療と介護・両制度の分界点の再検討等々の例が揚げられ、問題点が多いことは充分に承知しているが、解決策は一つ一つ共に創っていこう」ということが基調でした。
同居家族があれば制度適用外であるといった紋切り型の仕切りが好ましくないこと、地方の場所によっては「集中減算」を適用すべきでないこと、介護情報の公開に際する費用軽減の検討などについては、地方自治体に対して改善要請をしているとの見解も披瀝されました。
「地域包括支援センター」についても、住民との距離を近くして効率的な支援事業に向くように改善中であるなど、現時点は、改定後の制度の見極め時期だ、という印象でした。
【〜どうする介護保険事業所運営〜】と【新たな事業展開と高齢者住宅について】
「地域包括支援センターが、ケアマネの質を熟知しているので、所属のケアマネの質の向上を図ると共に、センターから紹介されるような関係作りを心がけた。集中減算を避け週に何日かの常勤者が対応。」(NPO法人中野ふくし倶楽部 大畑理事長)
「常勤、非常勤合わせて6人のケアマネで活動しており右肩上がりで推移している。改定後ヘルパーの移動と記録の手当てを廃止したため風当たりが強かったが、なんとか乗り切った。19年度は、病院を退職する3人を引き受け訪問介護ステーションを発足させる。地域の信頼が得られたので事業が出来ている。」(NPO法人地域ケアネットワークゆいまぁる 八幡理事長)
「訪問看護ステーションでスタートし、今年は認知症の利用者のみを対象とする小規模多機能型を開始する。是非成功させたい。」(NPO法人暮らしネット・えん 小島理事長)
ケアマネ、ヘルパーの報酬レベルも明かしていただきました。
シニア住宅の事業 ?サンフォーレ 堀井代表取締役、?ライフカルチャーセンター 澤登代表取締役
NPO法人ネットワーク大府 矢澤理事長から、地域に適合したコミュニティ・ビジネスをそれぞれの地域でのマーケティングを通じて見出し成功している事例について紹介していただきました。そして、?サンフォーレ 堀井代表取締役、?ライフカルチャーセンター 澤登代表取締役から、高齢者の住宅事業への参加の重要性、そして、成功の秘訣についてのお話がありました。ことに「小規模多機能型居宅介護事業」については、当面の採算性のみを考えて、参画しないのではなく、全般的な観点から考えるべきであるという提起がありました。また、こういう分野に参画する事業体にはコンサルティングサービスをする旨の表明がありました。
【事業所運営と人材育成について】
市民協 田中専務理事より、介護保険制度維持のために不可欠の、現行報酬レベルの見直し問題、世代交代時のNPO崩壊を阻止するための施策などについて、緊急の市民運動立ち上げが必要であるとの提言がありました。この内容の詳細については、次号に掲載の予定です。
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