利用会員さんのお便り
サチさんの「縁側日記」
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(2008年10月30日)
さらに、リハビリで、歯ブラシを左手に持たせてもらい、なんとか口まで運び、ブラシより顔を動かしてしまうのですが、歯を磨くように心がけています。歯茎を刺激すると、喉の動きがよくなると、テレビで聞いたので、頑張っています。
この文は、覚えていることを思い出しながら、書き出しただけなので、文もめちゃくちゃで整理されていません。これは、同じ病気で苦しむ方の、少しでも役に立ちたいと思い書いています。
98年 1月 発病
11年 9月 退院
退院時より毎日手足を動かしてもらい、
いつも音楽を聴く
00年 ラジオの英語講座を聞く
02年 ハリー・ポッターを読む
03年 本、文庫本を読む
05年 左手で年賀状を書く、鏡で手を写す、
豆を一つずつ皿に移す
06年 右手で年賀状を書く、左手で箸を握る、
スプーンでヨーグルトをすくう
07年 左手で歯ブラシを持つ、歯磨き、
麦ご飯を食べる
08年 スプーンでプリンをすくう、パズルをする、
歌にあわせて声を出す・ガムをかむ
*これらは挑戦した年で、
どれも出来たり出来なかったりです。
ほとんど出来ない事柄もありますが、あきらめません。
サチさんの「縁側日記」
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(2010年1月28日)
08.06
私は、知り合う方々にとても恵まれていると、思います。
問題も思わぬところから、解決していきますし、もし、自分ならここまで出来るだろうかと、いつも思います。何気ない配慮や、気配りに支えられています。
私が障害者だからだ、と、以前の私なら思うかもしれません。一度ならそれも考えますが、ずっと変わらずにいてくださるのです。
とても有り難く思います。
前にテレビで見たのですが、また本を読む機会がありました。ダウン症の岩元 綾さんの自伝で、その方が大学を卒業されているということなどで、話題になっていましたし、ぜひ読んでみたかったのです。(『21番目のやさしさに』かもがわ出版)
ご両親、ご本人の努力が素晴らしいのです。なんにでも可能性はありますし、それを信じて、どこまで広げていけるかは、周りの考え方次第だと思いました。
とても勇気づけられました。
パソコンの操作音が、どうしても気になってしまうので、市の福祉センターの方が設定を変えて、操作音を消してくださいました。
前のパソコンでは気にならなかったのですが、今度のパソコンの音は少し高く、毎日、ピッ、ピッ、ピッ、ピッと、何百回も鳴るので、介護する母の方がイライラしてしまうのです。
今は、とても静かで助かります。ホッと、しています。
サチさんの「縁側日記」
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(2010年3月3日)
以前に、この「伝の心」のシステムが、もっと楽しく有意義に活用されるように、文章に絵が出ればいいのにとか、呼び出しのベルの音を自分で消せればいいのにとか、希望を勝手に書き連ねていたのですが、最新の今回のものには、それらの機能が付いているのです。
なんとも素晴らしいことだと、思います。
技術の進歩は、はやいものなんですね。
こういう面での進歩は喜ばしいのですが、悲しいことに必ずと言っていいほど悪用されてしまいます。残念なことです。
どんな素晴らしい技術も、使い方次第なんです。
ベッドで寝たきりの方のために、寝たままで手元の物を見られる眼鏡型のアイディア商品を、はじめてみせていただきました。なるほどなあと、感心してみてしまいました。これは、あいの会の利用者さんが、わざわざ、お貸しくださったものなのです。
まだまだ、改良が必要だろう、とのことでしたが、体を起こせない方には、大変便利なものになると思います。
サチさんの「縁側日記」
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(2010年4月30日)
テレビで、関西の大学の(生死の授業)というのが、紹介されていました。
自分の死を想像する中で、一番大切なことは何かを見つめ直す授業でした。とてもすてきな授業でした。
こんな素晴らしい授業を受けられて、学生さんたちは幸せです。
今は、モノが周りに溢れすぎていて、大切なこと、大事なことが、わかりにくくなっています。それは、若者のせいではありません。
多くの若者にこの授業を受けてほしいです。
こういうことは、疑似体験するしかありませんし、そして、本当は自分は死の直前に、何を選ぶのかを、もう一度、よく考えてみてほしいです。
私は、誰からも好かれるいい人ではありません。
世の中そんなに、甘くない、とすぐ言う、いやな子でした。
ですから、こちらにそんな気がなくても、私のことを嫌いな方も、私に何か言われて傷ついたという方も、たくさんおられると思います。
私は口が悪いのです。悪気はありませんが、不愉快な思いをさせてしまい、申し訳なかったと思います。
障害をもったことで、これまでのことを、いろいろ反省させられましたが、いい人になったわけではありません。
今伝えておきたいことは、なるべく今伝えておきたいのです。今も相変わらず毒舌気味なのかもしれません。
サチさんの「縁側日記」
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(2010年5月14日)
我が家では、夜しか買い物に出られないのと、食の安全などから、生協を利用しています。ちょうどBSE問題の時からです。
素朴で飽きのこない味で、柔らかさもよかったので、何年も毎日、プリンとヨーグルトを食べ続けました。今はそれはお休み気味です。
私はCDや、ビデオ、DVD、本をよく注文して買います。とても楽しみにしています。
あいの会の利用者さんに、ウナギ風味のふんわりムースを紹介して頂き、早速、カタログを取り寄せてもらいました。
へルシーフード株式会社で、ヘルシーネットワークからカタログが、届きました。
前に本で読んで、その会社を知っていたのですが、カタログを見て感激しました。
メーカーごとにはいくつか知っていましたが、嚥下食品の品揃えがすごいのです。
鉄分や、カルシウムを摂る為の物も豊富で、やはりみんな悩みは同じで、不足するんだなあと、思いました。
このことは、大変ありがたいことです。
右手のリハビリにいいと思い、パズルをしてみようと思い立ちました。
母が、2歳用のパズルを買ってきてくれました。右手がなかなか伸びず、4ピースに握り用のつまみが付いただけなんですけれど、右手だけではめ込むのに1時間半かかりました。終えると、右の二の腕がとても痛いです。
始めたばかりで大変ですが、頑張ります。
サチさんの「縁側日記」
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(2009年11月18日)
08.05
新しいパソコンと、障害者用の伝の心(でんのしん)ソフトが来ました。初めの3、4日は、すごく戸惑いましたが、市の福祉センターの方や、取扱業者の方のサポートで、なんとかなりそうです。
いきなり、発病してすぐの方などが、この形のソフトを、うまくうてるのかな?と、思いました。私たちは、まず生きるために、これを使いますし、一日中使います。
負担額も、皆さんの税金のお蔭で、少なくてすみました。ありがとうございました。今は、なるべく、慣れるようにしています。
鉄分を食事で、なかなか摂れないので、鉄分入りの、牛乳や、ヨーグルトを、食べるようにしています。
よく、訪問看護師さんに、嚥下障害用の、水に混ぜて飲むゲルや、口腔ケア用のジェルの、試供品を、頂いたりします。
なるほどなあ、と、思うものや、利点があいまいなものも、ありますが、嚥下障害は、個人差が大きいと思いますので、それぞれに合うものを、見つけてほしいです。
新製品が出ることは、大変有り難いです。
また、他の嚥下障害の方にも、いろいろなものを、紹介していただきました。
もっと、紹介しあえる場所が、あればいいのに、と、思います。障害者を持つ家族は、とても、不安なもので、常に、新しい情報を探しているからです。
サチさんの「縁側日記」
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(2009年11月28日)
母が、とうとう腰を痛めてしまいました。まだ腰に、バンドはしていなかったのです。
これを機に、知り合いの方から、腰にするバンドを頂けることになり、いつも、介護の時には、するようにしています。
とても、楽になるそうです。有り難いです。
お風呂の方や、ヘルパーの方も、つけているようです。
私は、まだ、パンを食べられません。
牛乳に浸しても、生地の引きが強くて、噛みきれないし、上あごにも、べたーっ、と、張り付いてしまうからです。
クッキーなどは、なんとか食べられます。
ご飯は、ずっとお米と麺類を、食べています。おもゆ、おかゆ、普通のご飯、と、順番に6、7年くらいで、食べられるようになったと、思います。
麺類は、柔らかいもので、あまり細くないものなら、食べられます。
何度かチャレンジして、卵サンドとツナサンドを何とか食べられるようになりました。小刻みにかじらなければ飲み込めませんが、つばが割とよく出るようになり、から揚げやとんかつやガトーショコラにもチャレンジしています。
有り難いことです。
サチさんの「縁側日記」
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(2009年12月15日)
近所の方が、母が免許を持たないので、紙おむつを抱えて帰るのは、大変だろう、と、車で、安いお店から、同じ物を、たくさん買ってきてくださいました。尿とりパットもです。
ご家族の方の介護を、された時に、困られたそうです。どんな時も、必ずいりますし、こんなことがストレスに、なるのです。
これだけは、切らすわけには、いかないからです。お正月、お盆、災害の時などもです。
安い時は、皆さんたくさん、買いだめなさるそうです。
また、お惣菜なども、よく頂きます。
大変ありがたいことです。
私は、寒天は量により、硬くてつるんとするので、のどの奥に、そのまま入りそうで、苦手です。
ゼラチンは、舌の温度で溶けるので、飲み込みやすいです。
こんにゃくのゼリーも、噛みきれません。ゼリーは全部、つぶしてもらいます。
ウィダーインゼリーも、スプーンで食べさせてもらうのです。
夏になると、アイスクリームやシェーキを食べさせてもらいます。果物は、果汁があふれるものは、とろみをつけないと、飲み込めません。
なんでも、銘柄や、素材までこだわって、飲み込みやすいものを、選んでしまいます。
サチさんの「縁側日記」
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(2010年1月28日)
今、年間3万人の方が自殺していると、聞きます。とても胸が痛みます。今日読んだ本に、40代初期の男性の死亡原因、第一位は自殺と書いてありました。
ショックでした。そこまで来ているとは 、知りませんでした。
中でも、若い方の中で特定の方法が、流れて問題になっています。お願いです。生きていてください。それがどんなにすごいことかは、まだ解らないかもしれません。それでもいいので、生きていてほしいです。
世の中には、どんなに生きたくても生きられない方が、たくさんおられるのです。テレビで、元全日本代表のバレーボール選手の横山友美佳さんが、がんで亡くなったと、ありました。21歳です。
彼女の本に『捨てる命なら、私にください』と、ありました。
介護の現場は、自宅でも施設でも、甘いものではありません。必要な仕事はどれも、そうなのかもしれません。
介護者の方は、時間に追われて、充分なこともできないと思われるかもしれませんし、精神的にも大変かもしれません。
でも、うまく言えませんが、大切な責任のあるお仕事だと思います。
私の好きなアニメの歌に『誰も一人では生きられない』と、あります。
本当にしみじみ、そうだと思います。