ゴールド倶楽部の本郷孔洋代表が『シニアビジネスは男がつくる』をこのたび出版しました。ビジネスの世界で有名な本郷さんの本ですから当然にも含蓄があるのですが、私は次の点に関心しました。
1つは、「シニアビジネスは男がつくる」という点です。これまでは「消費者は女性である」という観点から、サービスや商品を消費する観点からは「男」はまったく相手にされていませんでした。実際に家計消費の際には女性の決定権をもっており、所詮、男は小遣い銭の中だけの自由しかありませんでした。
このことはリタイア以降も大きく変わらないかもしれません。年金の使用権は妻がもち、月額決められた小遣いしか男は使えないという場合が多いでしょう。それはそれでよいのです。
しかし、本書が指摘している「シニアビジネス」は、これからは男が作るのです。これからリタイアする団塊の世代やすでに退職生活をしているシニアにとって新しいビジネスを起業しましょう。ですから、年金はすべて妻に任せてよいではないですか。僅かばかりの小遣いを妻から貰うよりも、大変楽しい社会があることを本書は多面的に述べています。このシニアビジネスを実際に実施することによって、自分で自分が使う金を確保しましょう。
2つは、NPOの活用を重視していることです。本郷さんのように企業との付き合いが多い人がシニアビジネスについてはNPOとの連携が不可避だ、といっているところに本書の特徴があります。
私は先月、アメリカのシニアNPOで、世界最大のAARP(50歳以上の会員数3600万人)を訪問しましたが、そこで実感したことが本郷さんから述べられていました。
NPOであるAARPは、じつに上手にシニアビジネスを実施しています。AARPにとっては70歳以上のシニアよりも50歳以上のベビーブーマー世代(団塊の世代)の確保が戦略的に重要です。では、ブーマー世代は何に興味を持っているのでしょうか。保険の世界だけ紹介しておきますが、「歯科保険」と「2輪車保険」です。
アメリカでは国民皆保険制度がないので、50歳代で勤めていても健康保険はありません。したがって、医療サービスが必要なときには自費か、民間保険に加入する以外にありません。
50歳代になると歯科へ行く必要性がでてきます。そこで歯科保険をAARPは売り出すのです。つぎには、2輪車を購買する世代でもっとも多いのは50歳代という結果がアメリカではでています。そこで、2輪車保険を売り出すのです。このような保険開発にみられるビジネスの発想を応用すれば日本でも多様に展開できるでしょう。
以上2点のように本郷さんの指摘は鋭く、問題提起に満ちています。ぜひとも購読をお勧めします。ことに、これから退職したり、別のビジネスの展開を考えている方には絶好の著作です。
- 田中尚輝 さんの日記
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- at 10時33分
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