NPO法人 地域創造ネットワーク・ジャパン
副代表理事 笹森 清 (中央労福協会長)
「オールウエイズ・三丁目の夕日」を観て考えさせられた。
昭和37年というあの時代は、当時社会人になったばかりの私にとって、原点の風景である。
戦争が終わって10年余。まだまだ貧しい時代だったが、そこには今の日本社会が忘れてしまったものがあった。
それは、卓袱台(ちゃぶだい)を囲んだ温かい家庭の絆。人情あふれるやさしい隣人達との地域コミニュテイ。そして、豊かでのどかな自然である。
思い起こすと、少なくとも戦後の復興時には迷いがなかっただろう。明らかに廃墟の中から復興に向けて、生活を向上させようという方向性がはっきりしていた。そして、その気概を皆が持っていた時代だった。
いまは、政治も経営も労働も、全てのジャンルの人達が方向性を見失ってしまっており、どういう“国家のかたち”にするか。どのよう社会が望ましいのか、改めて考えなくてはいけなくなっている。
安全神話が崩れ、地域社会が崩壊してしまい、不安と不信が渦まいている。
そこに、少子化・高齢化が世界で最も早いスピードで進み、人口減少社会に突入した日本の実態がある。
そして、この高齢社会に拍車をかけるのが、いわゆる団塊の世代である。
高度成長時代を支え「ルック・イースト」「ジャパンアズナンバーワン」といわれた日本の企業戦士が、60才台に入り第一線をリタイアしはじめた。
働く現場から、家庭・地域に戻ってみると、居場所が全くない。やることがみつからない。ウロウロするばかりで、まさに粗大ゴミ、濡れ落葉状態で茫然自失。しかし、“チョット待って”。このまま埋もれさせてしまうのはあまりにも「モッタイナイ」。
団塊の世代の皆さんは、40年余、企業や組織の中で培ってきた、経験・能力があるはず。あなたの中にあるノウハウを、社会に還しませんか。
地域創造ネットワーク・ジャパンは、団塊の世代の皆さんが持っている経験の「感化力」に期待しています。そして、それを発揮していくことで、世の中を変える「伝播力」が広がることを目指しています。
シニアの力で、「地域力」を回復しましょう。
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