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2008年06月16日

読売新聞2008年6月5日(木)夕刊に掲載    『浅野史郎の夢・ふれあい』

知的障害者 再犯の理由

Kさん(57)は、長崎県にある社会福祉法人「南高愛隣会」の支援を受けながら、ケアホームで生活している。軽度の知的障害を持つ彼女は、昨年、佐賀県の刑務所を出所し、同会の施設に受け入れられた。
放火、窃盗などを繰り返し、4回目の刑務所だった。受刑原因になった犯罪は、レンタカーへの放火。8日間、水だけの生活を続けた末の犯行だった。「刑務所に入れば、雨風はしのげるし、食べ物にもありつける」と、Kさんは思ったという。
 JR下関駅放火で懲役10年の判決を受けた男性(76)も同じだった。彼も知的障害があり、刑務所暮らしを繰り返してきた。犯行は刑務所を出て間もなくで、「これで心配がなくなった」と語ったという。
 法務省の統計では、毎年の新規受刑者の2割になんらかの知的障害がある。410人の知的障害(疑いを含む)の受刑者を対象にした厚生労働省研究班のサンプル調査によれば、そのうちの7割は再犯による入所であった。
 なぜ再犯が多いかといえば、出所後の生活の支援がないからである。同じ調査で、410人のうち、公的支援を受けるために必要な療育手帳を持っているのは26人だけであった。
Kさんも、療育手帳を持っていなかった。だから、福祉の支援を受ける機会もなかった。
南高愛隣会の理事長で研究班の代表でもある田島良昭さん(63)は、500人以上の知的障害者の地域生活移行を果たしてきた。「30年間知的障害者支援の仕事に携わってきて、こんな大変な状況にある人たちがいることに気がつかなかったのが恥ずかしい」と言う。
 田島さんは、今、刑務所めぐりで忙しい。出所後の知的障害者の受け入れのネットワークづくり、関係者を調整するコーディネーターの養成にも汗を流している。4月には、西早稲田に東京事務所を開設し、まずは、療育手帳未取得の受刑者の手帳取得に全力を挙げることにしている。


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