元気なまちづくり事業プレゼンテーションがおこなわれました。そのまちでは1999年東海地域町村で初めてのNPO活動促進条例が制定されました。当時NPOそのものが理解されていない時期にトップダウンにて、将来事業委託ができる団体を積極的に育成することを目的として制定されました。毎年基金1000万円を設置し、補助率・上限枠のない、先駆性、公益性など有効な事業を提案した団体に対し補助金を交付します。当時、対象団体が多い場合はどのようにするのかとのいう質問に対し町は補正を組んででも支援をしていくと答えています。
ところが3年間で700万円近くの補助金を受け、結局NPO法人の取得ができず事業の継続性がみられなかった団体や、花火やお祭りなどイベント的な事業内容が多く、町民が元気になるということのみ強調された懸念があります。この条例が活用されなかったことが残念です。さらに残念なことは、明確な目標を持ちながら、社会の変化を先駆的にとらえ、これからこの条例の特徴を発揮できるときであるのもかかわらず、見直しがされてしまったことです。ボランティア活動を育成することを批判しているのではなく、今現在事業型NPOをきちんと育てていくことが求められているにもかかわらず、明確な目的があったにもかかわらず、その対象を曖昧にし、人件費は対象とせず、謝金に限定し、最低の経費を求めるという助成金という制度に見直しをしてしまったことです。構造改革が進み、公の担い手となるNPOが必要であるにもかかわらず職員や審査委員の思考は後戻りしているように感じます。事業のねらいや目的に対する質問はなく、申請金額に対する説明ばかりを求めてきます。促進委員会ではなく、単なるチェック機関ではないかと思われる印象をうけます。事業のねらい、その団体はどのような地域を主体的につくっていきたいのか、そして共感できるのか審査し、事業継続のための有効なアドバイスをしてあげてほしいと感じました。
しかし、町民はすでに気づき始めていました。たまには審査委員ではなく傍聴するのもよいものです。後部の席で聞くひそひそ話や雑談はなかなか興味深いものがあります。「イベントに自分の時間をつかうことはむなしいと思うようになった。」今回の提案事業は、多世代文化交流、長期的な視点にたった環境活動、地域ぐるみで子育てシステムを考えていく提案や、定年退職されたかたが中心で活動するお年寄りの生活支援など、まさに今必要とされている地域福祉システム構築のために、新しいリーダーが動き始めていました。今年度は申請をしないが、障害者福祉の活動をめざす30代、40代の仲間も傍聴にきていました。条例制定にかかわったものとしては、関係者の人にはこの条例制定時の意味・意義をとらえ、その成果があがったと判断し、次の段階として見直しをおこなったのか、それとも制度に問題があって見直しをしたのか、よくわかりません。
現実と将来あるべき姿のギャップをうめるにはどのようにしたらよいのかわからないのは、一部の審査委員や職員かもしれません。市民フォーラムで仕事をしていると、他の自治体や団体を訪問したり、事務所にいたりで、地元に戻るのはいつも夜になってからですが、たまには豊かな田園風景の中、柔らかな日差しをあび、気負いがなく自然体で地域の人と話しをすると、わが町の将来ビジョンもみえてきます。愚痴をいっている職員、将来に不安をもつ職員、その中で課題をとらえ現状努力しようとする職員、まったく時代錯誤の審査委員、やむなく流されているのか、誰に遠慮をしているのか主張をしない審査委員、主張をはっきりしている審査委員、行政主導で組織を形成しその成り立ちゆえに団体の課題から脱することができないNPO、たゆまぬ努力をしている本気のNPO、地域を変えることがでるのは、セクター間の利害を超えた本気の人の行動です。
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