市民フォーラムは若いスタッフが多い職場です。その一人が妊娠しました。彼女をみていると大人も成長していることがわかります。彼女はいいました。妊娠直後産休をとりたい。育児休暇をとりたいと主張しました。「子どもが1歳になるまでは、きちんと子育てをしたい」ともいいました。1年間は権利として育児休暇を取得し、しっかり子育て、その後職場復帰して、キャリアを磨きたい。組織基盤が脆弱であるNPOにおいてスタッフに育児休暇を取らせてあげるほど、補充人材がいるのであろうか。なかなか難しいとも思えるがNPOだからこそ工夫ができるともいえます。
そして、おなかがどんどん膨らんでくるにつけ、彼女に変化があわられました。「子どもができて初めてわかったことがある」「いろんな人の迷惑をかけないと暮らしていけないことがわかった」といっていました。年度末3月の報告書はおなかがぱんぱんになるまで、責任を持って業務に従事していました。きっとこれまでの人生の中でもっとも「心」が成長し、たくましくなったのでしょう。それは親になるための教育期間ともいけます。妊婦に対しては誰もが「やさしいまなざしで見る」「知らない人でも優しくしてくれる」これがとっても大切な「とき」でしょう。人は、大切にしてもらった分、人を大切にできます。育児休暇取得後、誰にも迷惑をかけないで、仕事と子育ての両立は困難です。いろんな人のお世話にならなければ子育てと仕事の両立は難しい。両立とはどちらかを犠牲にするということではありません。だからこそマンパワーが必要であり、たゆまぬ努力と多面的な工夫が必要となってきます。
子育てをすることで、「社会性」「柔軟さ」「自己抑制」など人格形成がされていきます。これは、子育てをすることで、親は社会との関わり、人間関係が多様化し、多くの経験、多くの人の影響を受けて、相互に働きかけあいながら、ともに成長していきます。
市民フォーラムには修士修了後入職してくるスタッフも多くいます。社会常識などほとんどなにもなく皆無ともいえます。子どもが産まれたときだけでなく、就職したとき、新しい環境になったときも、大人は多くの経験や人間関係を経て成長していきます。
私は、企業経験もあり、議員も経験し、多くのボランティアサークルの活動、婦人会などの活動を行ってきました。そして今、有給職員が18名いるNPOの運営をしています。これまで個人と組織との関係についていろいろ悩みました。なんのための組織なのか。権利だけ主張し責任を果たさない個人があまりにも多いのではないか。今も悩んでいます。ただし彼女の成長、そのほかのスタッフの成長をみていると自ずと考えが整理できます。人のために組織があるわけではない。ミッションのために組織があるはずである。成長し続ける組織の中で、さまざまな工夫を内面から引き出し、そして仲間と議論し助け合い、行動し、事業性を確立することで、持続可能な組織とし、成果がだせる、ミッションが達成できる組織となるはずです。そのような組織の中で、そのような仲間とともにミッション性とプロフィット性のバランスのとれた次世代の人材として成長していくのでしょう。
彼女の予定日は過ぎています。もうすぐかなと「知らせ」をまっています。
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