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2006年07月24日

書評『菜の花エコ革命』(藤井絢子、創森社、2004)

 京都へ行き、地域創造ネットワーク・ジャパンの組織化のために何人かを訪問しました。そのうちの1人の京都労福協の事務局長をしている藤さんから『菜の花エコ革命』(藤井絢子著)をいただき、帰りの新幹線の中でよみました。この本を読みながら、滋賀県の知事選挙の結果は当然だな、と思いました。著者の藤井さんは滋賀県のユニークな環境生協の代表者です。
  
 滋賀県知事選挙で大番狂わせがおきました。現職で自・公・民主が推薦した小松氏が圧勝するものと思われていましたが、新人の無名女性候補に敗北しました。女性候補の主張は、新しい新幹線の駅の新設はいらない、新しいダムはいらないというもので「もったいない」が選挙スローガンになっていました。
 この本は、琵琶湖の汚染がひどくなり、赤潮がでるということによって「なんとかしなくては」と立ち上がった市民の奮闘記です。まず、著者たちは家庭用の廃油などの放棄をやめて、それから石鹸をつくり始めます。家庭用廃油の7割までもがリサイクルにまわされるところまで一般家庭の協力を得られるようになりました。
 ところが、これに合成洗剤の企業の逆襲がはじまり、「リン」抜きの洗剤を販売しはじめます。市民運動の側がリンに焦点をあわせていたこともあって、業界からの反撃に立ち向かえなくなります。この結果、家庭がから集めた廃油が集積所に林立するという状態になります。
 このようになってもへこたれません。今度は、廃油の利用を石鹸だけではなく、自動車を動かす燃料に変えていくのです。これには、そんなに難しい技術がいるわけではありません。ところが、石鹸ではなく需要の多い自動車燃料にするには家庭用廃油では足りません。次に目をつけたのが菜種なのです。そして、休耕田などの菜の花を植え、それから油をとりだしていきます。これが滋賀県から全国へ広がっているのです。
 この本は、一般市民の環境についての奮闘記なのですが、現状の社会がいかに行き詰っているか、その克服は一人ひとりの市民の努力が必要なのだということをわからせてくれます。
多分、多くの滋賀県民が、この環境問題から政治のあり方を見ていたのだと思います。そして、旧態依然の小松県政に終止符を打つことにしたのでしょう。市民の動きがNPOのネットワークとなって発展してきおり、こうしたことを無視して政治ができなくなる時代になってきました。本書はこのことを明示しています。



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