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2009年04月12日

何か変? 高齢者の健康と自治体の取り組み

 市民協の研修会でM県に行ったところ、その県の担当者が「地域推進事業」(自立シニアの健康推進事業のこと、ちなみに行政用語では「介護予防」は要介護者への自立支援サービスのことであり介護保険の受給者が対象)で次のようなことをするというパンフレットをいただき、説明を受けた。
 それはシニア体操というもので、県の三師会(医師会、歯科医師会、薬剤師会)が開発・作成したという。中身は顔面の体操、手足の体操、「生麦・生米・生卵」などという早口言葉をさせようというもので構成されており、このことを教えるリーダーを地域につくって広げていくということで県の担当者は張り切って説明していた。
 これを聞きながら、「なんか変だな?」と私は思った。なぜなら、ここに書いてあるような体操や運動は普通に喋り、笑い、外へ出て歩いているとすべて出来ることなのだ。つまり、普通に話す機会がない、コミュニケーションをとれる友人がいない、出かける場所がないという高齢者へ普通のことができないことを補おう、ということなのだ。そのような状態になった高齢者に対して面白くもない体操と運動をさせていこうというのが、この企画の本質だ。
 行政は、こんな馬鹿馬鹿しいことに予算をつけて人々を動かしてはならない。肝心なことは、人々が普通に話をする友人や機会に恵まれ、そこで話し、笑い、また、毎日出かける場所(コミュニティカフェなど)があるように基盤整備をすることが肝心なのだ。
 行政は一般市民が勝手にできることに手を出してはならない。「補完性の原理」に基づき、行政にしかできないことをすべきだ。この場合でいえば、みんなが出てこられる居場所・コミュニティカフェづくりの基盤整備、生きがいを持って地域デビューできる環境整備にエネルギーを出すべきなのだ。当然、介護、福祉、医療なのどのセイフティネットの強化を図らなければならない。
 市民サイドは、こうした馬鹿馬鹿しい施策を漫然と受け入れてはならない。自分たちでできることを毅然と主張し、行政が為すべきことを教えていくことだ。


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