田中尚輝 の新着情報

2009年04月30日

行政の思考・行動方式とNPOの対応(下)

前回は、行政の思考方式と行動様式について述べた。これに対して、NPO側はどのように対応しなければならないのだろうか。
実際の状況を見てみると、意外にNPOは行政に弱く、政追随型が多いのだ。そのようになるのは、「そもそも行政は正しい」という常識の横行、「行政に背いてはいけない。介護保険事業者を辞めさされるかもしれない。目をつけられたら碌なことはない」というように判断するからである。
宅老所についていえば、県から「有料老人ホーム」の申請をするようにと言われて拒否できるNPOはごく僅かでしかない。多くは従順に指導にしたがってしまう。時々泊まるだけ、家を持ちながら何らかの事情があり、宅老所でおとまりするのは「居宅」として使っているのではない。「居宅」というのは「自分の家」のことであり、一般的には住民票も移してしまうことをいう。
したがって、有料老人ホームの申請をするということは「居宅の提供」をしたことを認めたということになる。書類を出す段階ではそれだけなのだが、この後が怖い。ここから、県がつくった「設置運営指導指針」が声を出し始める。廊下は1.8メートルなければならない、居室は1人13平米以上、看護師、機能訓練し、栄養士をおけ、という具合になってくる。このようになるのは、有料老人ホームは大型の施設を想定したものであるからだ。
だから、宅老所の経営者は簡単に有料老人ホームの申請書に印鑑をおしてはならない。県は行政機構でいえば、中間に位置し、市民の側よりは霞ヶ関方面ばかりを見る傾向になっている(この点は市民をベースにした市町村の基礎自治体とは異なる)。
NPOは行政に従順にしたがってはならない。NPOが最も大切にしなければならないのは、当事者である。当事者(この場合は宅老所の利用者)の利益をどうすれば守れるかを軸に頭を使わなければならない。だから、法令しか頭にない役人にはその頭脳構造を分析して、当事者に有利な判断をするように誘導していくことである。NPOが当事者と行政との間のバリアにならないと当事者への風当たりが強くなるだけである。



田中尚輝 の仲間たちの日記

全員 › 日付順

  • 日付順

指定された記事はありません


譲渡 所得| 医療 業務| 会社 株式| 寄附 益| 事業 宅地| 住宅 借入金| 譲渡 土地| 登記 事業| 特定 寄附| 分割 価額| 分割 適用|