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2009年10月05日

子ども系NPOの課題


 学童保育の活動家たちえhの「メッセージ」として下記の小論を書きました。(田中尚輝)

≪NPO界の課題≫
 NPO法が成立して10年を超えた。この間の多くのNPO法人が生まれ4万法人にも達しようとしている。百余年も前に生まれた公益法人(財団法人、社団法人)が二万六千法人しかないことを思うとNPO法は日本の市民意識を強く刺激し、市民活動に踏み切らせる大きなきっかけとなったことは疑いがない。だが、その実態を見ると2000万円以上の決算ができる団体が3割程度しかない。2割程度は百万円以下の決算しかできず、実質的には活動ができているかどうかは分からない、という状態である。
 さて、NPO法が生まれて10年を経て、これまでの数さえ増えていれば意味のある時代だったが、これからは活動内容が問われる時代に入った。つまり、生まれNPO法人が「人のため、世のため」に活動し、果たして成果を上げたかどうかということが問われる段階に入ったのである。
 たしかに、力量をつけたNPOは大きな成果をあげている。たとえば、NPO法人チャイルドラインなどは、子どもの悩みをフリーダイヤルで受けられるようにし、年間何十万回もの子どもたちの声を全国に散らばった事務所で受けられるように成長し、子どもたちはなくてはならない存在になってきている。また、介護保険系のNPOでは年間収入が一億円を超える団体が100法人以上生まれ、在宅系の介護サービスの5%強を提供するまでの力を持ってきている。
 だが、実際には、多くのNPO法人は当面の課題に追われ、人材にも資金にも不足し、模索状態が続いているものが多いのではないか。社会全体でみてもNPOが行政や企業に拮抗して役割を果たしているというようには映っていない。一般には「ボランティア活動が盛んになってきた」という範疇に入っているレベルでしかないのではないか。
 今後、NPOは日本社会において形成さあれなければならない「市民セクター」の中軸となって頑張らなければならない。そうしなければ、政権が変わったとはいえ、市民が行政や企業と対等に渡り合えるようにはならないだろう。このために必要なことは、個々のNPOが強力な存在になること、同業種、あるいは同地域でのNPOのネットワーク形成が進み、人々と社会のために役立つことが必要であろう。そして、NPOの力のある中間支援団体をNPO自身がつくりだし、多くのNPOを支援できるようにし、NPOの社会的な地位を高めていくことである。

≪子ども系NPOの課題≫
 では、こうしたNPOの状況の中で、子ども系NPOの課題は何か。一般論としては、前項の課題は子ども系NPOにあてはまるが、子ども系NPOに特化して話を進めよう。
 子ども系NPOの特徴は、それぞれのNPOの規模が小さく、かつ、行政依存型が多いことだ。これは、子ども系NPOのクライアントである子どもとその親が所得の少ない階層であることの結果である。したがって、子ども系NPOのネットワーク能力が低く、社会的に子ども系NPOの社会的な発信力が弱いということになっている。
 子ども系NPOとしては、これまでの子どもに対する社会的な投資の低さ(国政レベルで4兆数千億円)を変えさせ、子どもたちがそれぞれの個性を伸ばせるような社会を作り上げられるように社会的な提言をし、その実現へ向けて動かなければならない。ところが、それなりに活動をしているNPOは行政からの支援を得ており、行政との緊張関係が持ちにくい、あるいは、行政の下請け化している状況にある。新政権になって、子育てに多大な予算(5兆円強)が新たに投下されるが、その内容については当事者として大いに声を上げていくべきだが、そのセンターが存在しているわけではない。
 また、個々のNPOの強化策からいえば、当事者である子どもとその親だけで動いていても課題の解決にはならないだろう。子ども系NPOの力量を高めるためには、地域社会と保育園・幼稚園・学校を味方につけなければならない。この方策について成功している例は極めて少ない。このような問題意識を醸成できないのは、目の前の事業に忙殺されているからである。
 こうした問題の解決は難しくない。まず、子ども系NPOに協力してくれるシニアの人材を見つけることである。このシニア層は地域社会に多く存在し、能力を持ち、自由時間をもてあまし、生活も年金などにより安定している人々である。こうした層に、子ども系NPOは「助けて!」と声を上げればよいのだ。こうすれば、必ず人材は確保できる。
 こうして、シニアには個別NPOへの支援だけではなく、子ども系NPOのネットワークの事務局にもなってもらうことだ。これまでの若い親たちのシニアや男性に対する反発感をそろそろ捨て去って、子ども系NPOが社会に発信していく時期になっているのである。
 


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