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2009年10月27日

オーストラリアのNPO:感想

 10月18日から25日まで、オーストラリアのNPOを訪問して来ました。その折の簡単な感想です。報告は別にまとめます。(田中尚輝)

●シドニーのNCOSS(Counsel of Sosial Service of NSW)= ニューサウス州サービス協議会)
は、州のNPOの中間支援団体ですが、1億3千万円の予算のうちに、1億円が州政府からでています。そして、やっている中心的なことは「ロビー活動」です。
そのCEOは、次のようにいっていました。
「政府がお金を私たちに出すのは、NPO側にいる私たちしか提供できない情報をもち、提示できるからです。ただし、政府がやろうとしていることに反対のこともあり、これを強く言うとお金がこなくなるのではないか、と心配になることもあります。しかし、700団体の会員、オーストラリアにおけるNPOが国民の生活を支えているという実態を背景にしてNPOが活躍しやすい、つまり、政府から仕事やお金がNPOに回るようにするのがNCOSS(エヌコスと発音します)の役割だと思って筋を通しています。」
 
●Meals on Wheels Association ミールズ オン ホィールズ
のCEOは圧巻でした。彼は元公務員ですが、それよりもNPOが面白くてやってきた、と言っていました。この組織は老人給食のNPOで5万人の高齢者に8万人のボランティアで毎日食事を家へ配達しています。CEOは次のように言います。
「政府は管理費(人件費や事務所代)の支援しかしていない。少ない金額だ。私の役割は政府にわがNPOにもっともっとお金を出せ、ということだ。わがNPOが頑張れば、高齢者の健康状態が維持され、結果として政府の支出が減る。政府がNPOにお金を出すのは当然なのだ。われわれの予算のうちでもともとは政府資金が9割?(後でチェック)だったのがいまは5割だ。これは政府資金が少なくなったのではない。われわれが独自に事業をし、資金を獲得している。そして、政府との交渉力を高めている」
ボランティアは無償ですが、ガソリン代実費が政府からでています。
 
●Aged & Community Services Association
のCEOも素敵な中年女性でした。このNPOは3億円で動いていますが、政府の助成は一切うけとっていない。会費・寄付と事業収入でやっている。助成をもらわないのは、政府が間違ったことをよくするが、そのときに文句をつけるということができるようにするため、と明言します。
しかし、職業研修については政府の仕事を取りに入るということなので「公共サービス」は担っており、その対価は「助成」でないという理解なのでしょう。
 
オーストラリアでは高齢者や障害者福祉の7割をNPOが担っており(コミュニティ ケア サービスという在宅福祉の中心的な担い手はNPOで、国の直接サービスは医療部門になっています)、国家の「公共サービス」のもっとも大きな担い手です。国家はNPOの力を借りない限り、何もできないわけです。
  
目下、民主党は霞ヶ関改革で頭がいっぱいのようですが、これは単なる入り口で、本当は自治主権とNPOによるサービス機関と民意を代表するところとしっかり連携しなければ、政権基盤ができないことは誰が考えてもわかることなのではないでしょうか。
 


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