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2006年10月03日

政治の季節へー『小沢主義』をどう読むか

 阿部新内閣が発足したが、いつまで持つのだろうか。『美しい日本へ』(文春文庫)を読んで見たが、抽象概念の羅列で何を言いたいのかよくわからない。かなりの国家主義者であることは理解できるが、国家の制度をどのように改革し、社会システムをどのように仕上げていこうとするのかを読み取れない。しかも歴史観も語らず、学者の検討を待つというのでは、ロマンを語り、国の形イメージを指し示し、国民に協力を依頼するという政治リーダーの基本要件に欠けていると言わざるを得ない。これでは、来年の参議院選挙の結果によって短命内閣に終わる可能性が高いのではないかと思う。
 阿部内閣の後の総理大臣は誰になるのだろうか。その近くにいるのが小沢一郎である。彼はここのところ精力的に出版しており、国民に直接に話し掛ける努力をしている。『豪腕維新』(角川書店)、『小沢主義』(集英社インタナショナル)を矢継ぎ早に発行した。本人が書いたものではないが『小沢一郎入門』(森田実、三笠書房)なども出版されている。『豪腕維新』は、新聞に連載したものを集約したものなので、ここでは『小沢主義』に注目する。
 保守と革新の闘いが戦後の政治史を彩ってきた。その代表が自民党と社会党の対立であった。だが、このことは果たしてこれは保革の対立であったのだろうか。当時に自民党の軸でいた小沢はこれを否定する。
 「自民党と社会党は建前として表向きには唱える主張は違っていても、実はその体質も同じで、ツーカーの関係なのだから、社会党と連立政権を作り、社会党の党首を総理に担いでも、自民党にしてみれば少しもこまらない。」つまり、社会の根本問題に切り込むことなく、富の再配分だけを競うだけだと指摘する。  
 私は若い頃に社会党におり、どうもその体質が本当に社会システムを変えようとしているのかに疑問を感じ一切の関係をなくしたのだが、対立していると思いこみ喧嘩をしているつもりであったがこうも簡単に自民党(当時)の小沢氏に指摘されると何と馬鹿馬鹿しい時間を送ったのだろうかと反省しきりである。
 小沢氏は、政治の力が必要だといい、それは必ずしもイデオロギーではなく、政策と社会システムに注目する。政権内部にいても、少選挙制を導入したのは政権交替を容易にし(自民党が野党になることを拒まず)、政党の力をつけることであり、他方において官僚を政治のコントロール化におくことを目指したわけである。小沢氏はイデオロギーではなく、政治の役割についてラジカル(根源的)なのである。
 わが日本は、高齢化、少子化、地域社会の崩壊、環境の悪化など多くの課題を抱えている。年金制度1つを取り上げても、政治が抜本的な解決策を提示しなければ誰も制度自体を信用しなくなるだろう。
 来年の参議院選挙を境にして日本政治の競いあいは、熾烈なものになり、政治の時期を迎えることになるだろう。その一方の旗頭として小沢氏に注目したい。


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