田中尚輝 の新着情報

2006年10月17日

【緊急報告】5000万人の会員を5年以内に達成するAARP

 ワシントンDCの中心街にあるAARP本部を10月16日に訪問しました。私は、今回、労福協が主催する「AARP・NPO視察研修」に参加してのことです。 
 そこで、AARPのミッションとバックグランドの導入部分の話の後に、連邦政府・州政府へのロビー活動、NPOとしての組織運営・事業展開について、AARPのアジア政策についてレクチャーを受けました。中間選挙の最中、また、翌週からAARPのコンベンション(総会とイベントをあわせた大掛かりな事業、通常3万人前後が参加する)が開かれるという超多忙な時期に3名の担当者が熱心に話してくれました。そして、熱い意見交換をしましたが、その中でもAARPの団塊世代対策は注目すべきことですので、最初にその内容を報告しましょう。その他については、順次報告します。
 まず、AARPの団塊世代対策指針がしっかりと確立しているということです。そして、これから5年以内に団塊の世代をとりこみ、5000万人の会員数にする、と言っています。
 この前提条件ですが、日本の団塊の世代は1947〜49年生まれをさしますが、アメリカのベビーブーマー世代は第2次大戦後から1960年代までの15年間くらいを指す長い期間の間に生まれた人のことです。また、AARPの会員資格は50歳以上で、現在の会員数は3600万人おり、これは世界最大のシニアNPOです。それをこの5年間で5000万人に増やす目処がついた、ということなのです。
 AARPはベビーブーマー対策のために10年も前から取り組んでいます。まず、AARPはCIを変え、基本コンセプトを退職者を中心ではなく、働いている50歳代以上に焦点を合わせたことです。このために、AARPのRは、それまではリタイアの意味でしたが、単なる符丁としてのRにしてしまいました。
 その上で、会報『AARPマガジン』は定期刊行物では世界最大の2200万部を発行(夫婦には1冊しか送らないために会員数よりも印刷部数が少ない)していますが、この大改革をおこない、1945年生まれ以降の会員とそれ以上の会員とについて編集を分けました。つまり、シニアを一色でくくることはできず、戦前生まれと戦後生まれ(ベビーブーマー)とを区分したのです。
 そして、ブーマー世代の徹底した研究と働きかけをおこないます。彼らは、ブーマ世代をつぎのように規定します。「面白い世代だ。そして、頭がよい。また、製品・サービスに関心が高く、知恵もある。したがって、選り好みをする世代だ。かつ、自分が求めたものに『ノー』といわれるのは嫌な世代。その上、年をとらないという意識が極めて強い。だから、子どもの世代と同じ音楽を聴いて楽しんでいたり、女性のメークアップも、男性のファッションも若い人と同じだ。そして、腕を組んで親子で一緒にスポーツジムへいく世代だ。」
 以上のような分析の上に、それに合わせてAARPは変化しています。たとえば、『AARPマガジン』ですが、最新号の表2(表表紙をめくったところ)の広告は、ビールです。10年以上昔は、ここに薬や車椅子や杖の広告がきていたところです。広告を変えるように編集内容も年齢を気にしない内容になっています。
 また、オートバイの保険もAARPから売り出されるようになりました。これは、オートバイを買う世代で伸び率のもっとも高いのは「50歳プラス」であるという市場調査の結果に基づいています。
 つまり、ブーマー世代をAARPに取り込むためには、AARP自身のチャレンジが必要で、これまでは本部内で考慮しなかった話題が討論されるようになってきたようです。そして、テレコミュニケーション、インターネット・コマーシャルなども活用することになりました。これにあわせて当然のこととしてボランティアの内容は変化していくし、AARPの事業や組織の推進内容も変わっていかざるを得ないわけです。
 このような変化に対応するために、現在のAARPの本部職員数の総数は2200名、その内、ワシントンDCのヘッドオフィスにいる職員は1300名ですが、今後5年の間に500人ほどスタッフを増やすかもしれない、と言っています。
 レクチャーをしてくれた優秀なAARP本部の職員であるプラドリーさんの言によれば、「いま、本部にいる自分たちはタイタニックを操縦しているようなものだ。急激な変化に対応しなければならない」と締めくくりました。
 AARPはブーマー世代をとらえるために今後も変化をし、確実に5000万人の会員を確保するだろう、と私は思いました。そして、日本における展開において、強い刺激を受けた時間を過ごしました。


田中尚輝 の仲間たちの日記

全員 › 日付順

  • 日付順

指定された記事はありません


譲渡 所得| 医療 業務| 会社 株式| 寄附 益| 事業 宅地| 住宅 借入金| 譲渡 土地| 登記 事業| 特定 寄附| 分割 価額| 分割 適用|