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2006年10月23日

[アメリカNPO報告第3弾」AARP州事務所の活動

 AARPは、各州に本部の費用で事務所をおき、AARPのミッションや事業の推進、また、会員サービスをおこなっています。10月17日メリーランド州の事務所を訪問しました。州の会長のLee Hammondさんは、AARP本部の理事で副会長も兼務しています。また、AARPの生みの親になり、また、推進役になっている教職者退職者協会(RTA)メリーランド州の代表もつとめている人で典型的なAARPの幹部の1人でした。
 彼は、つぎのようにスピーチしました。
 AARPは3700万人の会員がいる(3600万人という人もいるが、3700万人に近づいているのでしょう)が、そのプログラムはワシントンだけではなく、50の州での活動が大事であり、ここがAARPの第一線だ。会員が参加するチャプターやRTAなどの活動が重要である。
 AARPの州におけるサービスは、全国べースと連動しているが、シニアの生活を守ることを第一義的にしている。そして、シニアを力づけ、シニアの政策提言が実現するようにし、地域社会をよくするために努力し、個々人のメンバーの生活が向上するように個人への助言もおこなう。
 具体的には、処方箋問題の改善や最後まで自宅でくらせるように支援し、メディケア制度の活用のアドバイスもおこなっている。また、運転向上プログラムにより、55歳以上の人の安全運転技術を向上させ、自動車保険料の割引を可能にしている。また、税金申告の際には専門家のボランティアを配置し、誰もが困らないようにしている。また、政府の助成金を活用し、シニアの職業再訓練を実施し、再就職に寄与している。こうした現場での活動が全国的な政策に反映していくのだ。
 目下、活動にあたり留意している点は、グラスルーツからの活動、そして、若い人を巻き込んだ活動ということだ。また、たえず、政策提言をおこない、住みよい地域をつくるために頑張っている。
 その後、日本側の事情の説明をおこなった上で、次のような意見交換をおこないました。双方の意見と渡し個人の感想と取り混ぜて報告します。
 
 [定年後の生活、雇用側の対応]
 リタイア以降、アメリカの企業は日本と同じようにかつての労働者のことに配慮することはない。したがって、大量に排出するブーマ世代は経済的な危機を迎えることになる。目下、ブーマ世代は働いているが、個人で働いているという感覚であり、企業に従属しているという意識はない。したがって、日本のように40年間帰属した組織から離れて「地域でビュー」などということをことさらに強調することはない。
 アメリカにおいては、日本におけるように「定年制」がなく、何歳までも働くことはできるが、次のような問題点がある。いつまでの会社にいると若い人の仕事を奪うことになり、居づらい ?アメリカの企業は退職者に関心がない ?「401K」はあまり普及していない。

[チャプターの活動]
 AARPはチャプター制度(支部)を取り入れており、メンバーが地域で自由にチャプターをつくることができる。チャプターは、州事務所より古く、1960年代の半ばにできた。チャプターは、つぎのようなことをしている。1ヶ月に1回の定例ミーティング、そこで食事をする、また、メンバーで旅行にいく、あるいは、コミュニティサービス(ボランティア活動)をするなどのことだ。
 チャプターには、ボード(役員会)があり、メンバーの能力を発揮できるようにし、ボランティア活動を推奨している。また、メンバー以外にもボランティアサービスをし、退院をした人が自宅で療養できるように、学校での助手、買い物、送迎、養子縁組の前の預かりなどコミュニティに近い部分でボランティア活動をしている。
州事務所でいただいた資料をみると、チャプターの運営のために、下記のような規定をしていることがわかる。
 チャプターはAARP全体のミッションや規則に従わなければならないこと、代表、副代表、事務局長などのボードメンバーを決め、また、そこに所属する会員名と住所を報告しなければならない、名前のつけ方については個人名などをつけてはならないこと、会費は本部の年間会費12.5$を超えてはならないこと、経済活動をしてはならないこと、一ヶ月1回のミーティングをしなければならないこと、報告義務などがあります。
 メリーランド州におけるチャプターの数は40で、そこに6500人が所属しており、それぞれの人員は8人〜650人までさまざまある。そこに所属するメンバーの特性はAARPの会員の中で比較的に年齢の高い人が多い。この理由はチャプターが古くから活動していること、ブーマー世代は仕事をしており、参加できないことによる。総数としては、6500人が所属しており、メリーランド州の会員全体(81万9千人)のうちの1%以下であり、この点についてAARPは戦略的な課題にしているようには見えなかった。
 会場には、チャプター連絡会の代表、また、チャプターの活動家も参加しており、次のような発言があった。
チャプター連絡会の会長は、自身のボランティア活動として、学校にいってメンター(助手)をボランティアとしている。彼女は高齢だが、以前に学校の先生をしており、その能力を活用しているわけだ。
 また、男性の参加者は、次のように発言した。「私は、36年間努めていたが、仕事をやめてがっくりした。その上、妻が先に亡くなり精神的にも参ったがチャプターが救ってくれた。チャプターには1994年に入った。」
 州の役員は、チャプターについて、「アメリカは人種が多様で生活しにくい面がある。また、若い人の国で高齢者が外へおいやられている。チャプターでは、それぞれのメンバーの元の仕事を活用したことができるように工夫している。メンバーには元FBIもいるし、税務署にいた人もいる」とコメントした。
 
 [グラストップとアクティベスト]
 AARP本部の話が、州レベルで実際にはどのようになっているのかを確認するために、グラストップとアクティベストについて、質問した。
「グラストップには、どのような人がなるのか?」これに対しては「行政関係の人と気楽に意見交換ができる人、地域社会において影響力のある人だ。これはグラスルーツに対応する概念であり、グラスルーツ活動をしっかり実行するために生まれてきた」との回答。
 アクティベストについては、全国に400万人いるがメリーランドには2500人のアクティベストがいる。これはAARP会員の5%にあたる。ただし、AARPのメンバーばかりではない。この人たちは、シニアのための政策を実現すために?をしたり、活動する人であり、シニアとしてAARPと同じ課題をもっている人々で一緒に解決したい、ということで動いている。選挙のときに活躍するわけで、高齢者の投票率が高いために重要な役割を果たしている。

[個人的な感想]
 AARPの組織はしっかりしており、本部の意向については州事務所までしっかり理解され、実行に移されています。
 また、この日の私たちへの歓迎は相当なもので、約15人が出迎えてくれて、同席して議論しました。私たちが事前にチャプターについて知りたい旨の申し出をしていたのですが、その関係者4人も呼んでくれていました。 こうしたこともNPOのマネジメントとして学ばなければならないと思いました。

 明日は、アメリカNPO報告第4弾で、マネジメントんついて書きます。


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