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2007年02月08日

介護保険制度をどうする?

介護保険制度をどうするか?

私が専務理事をしているNPO法人市民福祉団体全国協議会では、介護保険のサービス事業者が多く、この制度をどのようにするのかについて強い関心があります。最近の市民協のFax通信で私の意見を掲載しておきましたら、福岡の会員団体から、つぎのようなメールをいただきました。
「FAX通信No167号を読んで感激しました。我々が行政へ提言したいことを大部分代弁していただき、有り難く感激しております。今後もどしどし行政に強く働きかけてください。
 期末には、(市民協の)再度活動資金に使っていただくため、寄付を考えております。
 介護保険事業所の皆さん、市民協を強力に応援いたしましょう。「情報公表制度」に手数料をふんだくだれるくらいなら、気持ちよく市民協に寄付しましょう。」
 この問題は、事業者だけではなく、400万人の要介護者とその家族、そして、今後大量に発生する要介護者にとっての必要な課題になります。そこで、Fax通信の内容を掲載します。

   介護保険制度の行方をどうする?           田中尚輝(NPO法人市民福祉団体全国協議会)
 1月27,28日に東京で開催された「市民協トップマネジメントセミナー」におきまして、私は古都厚労省振興課長につぎのような質問をしました。
1.介護保険法の改訂は、「介護の社会化」の放棄を意 味するのか。
 家族介護へのゆり戻し、要介護者の「自己決定権」(サービスの選択権)の剥奪、地域包括支援センターの位置づけ、など
2.現状のシステムを継続すると、事業所の閉鎖、倒産 が続出することが予測される。また、ヘルパー不足が 深刻であり必要な人員を確保できない。このままで  は、介護保険制度自体が崩壊するのではないか。
 1)厚労省は介護労働者の適正賃金をどのレベルで考  えているのか。中間管理者である「サービス提供責  任者」の年収が300万円程度でしかないことを「正  当」な賃金と想定しているのか。
 2)海外からの介護労働者の迎え入れに反対はしない  が、このことの狙いのうちに介護労働者の低賃金化  があるのではないか。このようなことでは国際的に  も評価される国になれない。
3.今後、病院や施設から在宅へ送り込まれてくる。介 護制度と医療制度の境界線があまりに高く、制度見直 しをしない限り現場のサービスに困難をきたすことに なる。
4.次回の介護保険法の見直しについて、どのような議 論がされているか。

【皆さんの厚労省への質問】市民協に皆さんから寄せられた厚労省への質問は、つぎのようなものでした。これについても、古都課長に文書で渡してあります。
1.今回の改訂により要介護から介護予防に回された人 のクレームはきわめて多く、訪問介護事業所として苦 慮している。個別対応ができるように柔軟な対応が必 要ではないか。
2.ケアプランの自己作成について、あからさまに制限 をかける自治体があるが、理不尽ではないか。
3.ケアプラン作成の「集中減算」回避のために利用者 を他の事業者へ回すことがおこなわれている。小規模 の事業者の場合には、この機械的な適応を除外してほ しい。利用者の希望や権利を守るためにケアプランを 断れない。(当事業所は、5件のケアプランを振れな いために、年間240万円の減算になっている。)
4.居宅介護支援事業者を単独で実施している場合に、 近隣のサービス事業者から受け入れを断られるケース があり、廃業に追い込まれている。このようなことを 回避できるシステムが必要ではないか。
5.包括支援センターからのケアプランの委託料は3600 円/件であり、1件あたり4時間/月の時間が必要であ り、これではとてもやれないので改訂できないか。
6.移動時間や書類の作成時間が「報酬」に含まれてい るという厚労省の公式見解には無理があると考える  が、いかがか。
7.居宅介護支援・介護予防計画書の作成が細かすぎ、 利用者にとって読むのが苦痛。これほどの量が必要な のか。
8.ヘルパーをすべて「介護福祉士」資格を取得させる 方針であるが、これは間違いではないか。(?「資  格」よりも「資質」を重視する必要、?介護報酬をあ げないで「資格」ばかりを強調するのは間違い、?2 級ヘルパーとして市民の介護保険事業への参画の道を とざすことになる)
9.「小規模多機能型介護事業」は、ボランティア団  体、NPOなどが開発した宅老所、グループホームの制 度化だが、そこでのよい点をすべて骨抜きにし、居住 スペース、個室、人員配置などの規制によってNPOな どの良心的な事業者が参入できない。改正することは 考えないか。
10.インフォーマル・サービスをケアプランに組み込む ことが必要だが、これにたいする「加算」算定があっ てもよいのではないか。
11.介護事業所の公表制度はよいが、そのための事業所 負担費用は免除してもらいたい。また、HP上での公 開では実際の利用者の目にはいらないので改善が必  要。

【われわれは、何をなすべきか?】
 厚労省の見解は、前回(Fax通信1月25日号)において掲載してあります。私の個人的な見解を述べます。皆様のご意見をください。
1.介護保険制度を持続的な維持ができる制度へ変革す る
 1)これが前提であり、このエネルギーを裂くことを  拒否してはならない。自殺行為にならないように。
 2)抜本的な政策提起が必要
  ?介護報酬の基準について、厚労省に迫っても一切   回答をしない。現状の中で人件費比率をあげるな   どの事故努力で処理して欲しい、という回答しか   引き出せない。これを引き上げるためには、a)   保険料を引き上げる、b)被保険者の年齢を下げ   る、c)自己負担1割を引き上げる、d)特別の   税制(消費税?)、e)介護保険サービスを引き   下げる(要支援については介護保険サービスをお   こなわない、ケアマネジャーのケアプランが必要   でない分野を広げるなど)を選択していかなけれ   ばならない。
  これについて、われわれは「介護報酬を引き上げ  ろ」というだけではなく、対案を提示しなければなら ない。いづれも当事者の負担の増大になることであ  り、その理解を得られる状態にしなければならない。
 ?精力的なロビー活動が必要。厚労省との交渉だけで  は限界があり、制度改正が必要となります。このた  めには有効なロビー活動をしなければなりません。
  a)NPO、民間事業者、生協、JA、社会福祉法人   などの連携を進める
  b)当事者(要介護者)の連携を具体化し、その声   を集約できるようにする
  c)学者、研究者に理解者を広める。広く国民の    理解を求める
  d)「介護の社会化を進める1万人市民委員会」(1   万人市民委員会)以上の体制と運動づくりをおこ   なう(市民協の役割が重大)
 ?具体的な取り組み
  07年:?調査と政策づくり
     ?要介護者と事業者の理解の増進
     ?自治体選挙、参議院選挙における争点に浮      上させる
  08年:ロビー活動の開始


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