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2008年04月27日

NPOのロビー活動 〜介護保険改定に立ち向かう(その1)

「介護従事者等の処遇改善法」が厚生労働委員会を全員一致で通過!(08年4月25日)

 本来、NPO法人は世の中をよくするために存在し、活動をするわけです。つまり、NPOは社会をよくするために存在しているわけです。これを実現するには2つの方式があって、まずは、困っている人や社会的な当面する問題点を改善するということです。こうしてNPOは、要介護者や子育てなどの支援策が必要であり、さまざまなサービスを提供することになります。
 ただし、これだけでは足りないのであって、社会制度の改革や新しい法制度を創生することなどが必要になります。つまり、NPOにとってはロビー活動は活動の延長線に存在する必須の活動なのです。
 ところが、日本のNPOはロビー活動に臆病であり、無関心です。私は、この点を改善していかなければならないと思っています。私の中心的な活動分野の1つは高齢者介護の分野ですので、この点についてケーススタディとして述べます。これから、本格的な活動を展開していきますので、事実経過と私自身の問題意識をメモしていきます。

 私が専務理事をしています「NPO法人市民福祉団体全国協議会(市民協)」は、介護保険の改定にむけたロビー活動を活発に展開していきます。当面は、介護従事者の処遇改善のための活動ですが、これを介護保険制度の改定にまでつなげていきます。
 このために、市民協は昨年(07年)春から、介護事業者・経営者の調査を実施しました。1年近くかかって今年(08年2月)に膨大な調査結果(『介護保険制度の持続・発展を探る―介護保険改定の影響調査報告書―』「改定介護保険制度」調査委員会、08年2月)を完成させました。これと並行して07年秋から「介護保険制度研究会」(白澤大阪市立大学教授)を座長にした研究会を発足させ、08年1月末に厚生労働省への申し入れ書を提出しました。
 まず、以上が介護保険のロビー活動を実施するための準備活動です。この活動は、市民協だけで実施しても社会的な影響力を確保できませんから、介護保険に参入する多くの事業者の参加を依頼しました。相互に関係がスムーズにいっていない団体もありますが、在宅サービスを実施する事業者のほとんどが参加しました。その参加団体は次の通りです。
・「民間事業者の質を高める」全国事業者協議会
・日本在宅介護協会
・全国社会福祉協議会
・日本生活協同組合連合会
・全国農業協同組合中央会
・NPO法人市民福祉団体全国協議会
・高齢社会をよくする女性の会
・日本ケアシステム協会
・NALC
 これに調査については、その事務局を社団法人長寿社会文化協会(WAC)が担ってくれました。
 この費用に850万円が必要であり、これについては参加団体が応分の負担をしてくれましたが、市民協としては200万円+αの拠出をしました。
 つまり、【教訓?@】ロビー活動をしっかりと展開するためには、調査と関係団体の連携、【教訓?A】その推進役になる事務局が存在しなければならない、かつ【教訓?B】お金が必要ということです。

 以上のような経過の中で、高齢社会をよくする女性の会(代表:樋口恵子)が介護従事者に月額3万円の報酬アップの「人材確保措置法案」の要請を07年11月に厚生労働省と全政党にむけておこない、12月13日には決起集会を開催しました。また、これには15万人を超える賛同署名が集まりました。当然、市民協としてもこの動きの渦の中に入りました【教訓?C】具体的な政策提案にする、【教訓?D】一般の人々の賛同・参加を得る。
 こうしたことに後押しされて、民主党が月額2万円アップ法案(介護労働者人材確保特別措置法案)を08年1月に衆議院に対して行いました。
 そして、4月9日に衆議院厚生労働委員会における審議が始まったのです。この国会審議の時期については、私たちにとっては唐突なことでした。年度末の3月末の国会での様々な与野党のやりとりがあり、その後、急速に展開することになったのです(【教訓?E】国会情勢は急展開する。それに瞬時に対応しなければならない)。
 4月9日は法案の提案だけだったのですが、11日は6時間の集中審議、16日は参考人質疑、18日には6時間の集中審議として集中して議論されました。この間、高齢社会をよくする会と市民協が中心になって傍聴人の動員、また、15日には緊急集会を開催し、たえず、傍聴席を満員にし、集会を熱気あふれるものにし、集会には全政党の参加を得、その熱気を伝えました【教訓?F】全政党、ことに与党に絶えず働きかける。
 その結果、4月25日の委員会において「介護従事者等の処遇改善法」が全会一致で委員会において成立しました。
この法案の中身はないのですが、私たちの介護従事者の労働条件向上の趣旨を具体化する橋頭保を築いたのです。NPO市民協が中心になって展開した成果が具体化してきたのです。闘いは、これからです。今後の展開については、次回にまわします。


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