設立趣意書
日本の社会は、かつてなく歪み長期にわたり患ってきました。少子・高齢化社会が進行するなかで、社会的にはリストラ・失業、家庭の崩壊、DV、孤独死、ひきこもり、少年非行、親・子殺し、多重債務、ホームレス、自殺者等々の急増に対しての有効な手段を確立できないでいます。このことは日本社会のセーフティネットの重大な危機を意味し、近未来への不安を増殖しています。
こうした背景にある経済の停滞や財政危機は高度経済成長の段階で育まれ、それが表面化して10年余も継続しました。そして、社会的弱者の増大現象を放置したままの声高な「改革」に対し、期待することを止めた人々は多数になりつつあります。
心ある生活者・市民は、自らが住み暮らす地域・近隣社会の生活ニーズに対して、個人資源(いくばくかかのお金・知恵・労力・時間)を拠出し合い、リスクを引き受けながら「たすけあい・支えあい」に必要な地域福祉サービスを創出してきました。その自律的営みは、「経済成長ボケ」や「バブル経済破綻のツケ」を克服しようとする市民力の台頭を意味しています。
この間、市民活動が急速成長した主な契機は、阪神・淡路の大震災での市民の参加であり、それを受けたNPO法の制定、介護保険法の導入などへの対応でした。その結果は、身近に派生する社会的弱者の発するニーズに直面して、地域が共有できる生活価値の創出に向けた「生活者・市民」の参加と協働=市民公益の成果を際立たせました。