私は最近、NPOの限界について考えることがよくあります。これは、制度論というより、NPOがもっている内実についてです。この場合に、NPOに欠けているものが何であるのかというと「社会変革意欲」です。
たしかに多くのNPOは、当面する諸課題に懸命に立ち向かっています。要介護高齢者や子どもたちが伸び伸びと育てるように頑張っています。そして、それなりの成果を挙げていることも事実です。「しかし」と私は思うのです。「それでどうした?」と頭を傾げざるを得ないのです。つまり、当面する課題にはしっかりとりくんでいるのだが、その事態をもたらしている社会的な根源に立ち向かっていないのではないか、と思うのです。
そういう時に、『世界を変える人たち』(デービッド・ボーンステイン、井上英之監訳、ダイヤモンド社、二〇〇七)を読みました。著者は、「物事を変えるには、人々の姿勢、考え方、行動などを変えなくてはならない。偏見や恐れなどを乗り越えなくてはならない。新しい発想は歓迎されるとは限らないのである」と言い、アショカ財団のフェローを紹介しています。
ここにおいては、社会的起業家として紹介されており、その先駆的な人物として、かの有名なフローレンス・ナイチンゲール(イギリス)を「社会的起業家のさきがけ」として商会しています。彼女は、クリミア戦争の野戦病院において、一八八五年に病院内の死亡率四三%が五月には二%にしました。その後、イギリスの医療制度の大改革にとりくみました。その他に、つぎのような人々が登場します。
・ビル・ドレイトン(アメリカ):アショカ財団の創始 者、「世界の環境政策を変えた男」、「セーブEPA」 レーガン政権との戦い
・ジェルー・ビリモリア(インド):インドのチャイル ドライン設立者、「子どもを守る、二四時間の電話」
・ファピオ・ローサ(ブラジル):「貧しい村に電気 を」、電気を引いて井戸から農業用水 生活を向上さ せる
・エルゼーベト・セカレシュ(ハンガリー):障害を持 つ子どもを出産する。障害者に対する冷たい視線はあ るが、なんらの支援策がないなかで粘り強く政策をつ くりあげていく。「社会主グループ国に誕生した、障 害者の『夢の家』」
・ヴェラ・コルデイロ(ブラジル):「スラム街の子を 病気から守る」、「ヘセナ(再生)」病院からスラム へ、スラムから病院への悪循環を断ち切る
・J・B・シュラム(アメリカ):「低所得者の大学進学 支援」
・ヴェロニカ・コーサ(南アフリカ):「差別の国でエ イズ患者を救う」
・ジャヴェド・アビディ(インド):障害者の雇用 「車イスから世界を変える」
・ジェームズ・グランド(アメリカ)「一五〇〇万人の 幼い命を救ったユニセフ事務局長」
私は、これまでNPOの中でも「事業型NPO」の推進をしてきました。この立場は今後も変わりませんが、その中でも社会起業家としてのNPOリーダーを作り上げていく方向に家事を取らなければならないようです。
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